2024年7月3日

ほっこり

蒸し暑いです。梅雨です。真夏の暑さに対しては「かかって来いや〜」とファイティングスピリットも湧くのですが、じめじめの梅雨の暑さは苦手です。「ズボンがぬれて力が出ない⤵︎」と、アンパンマンみたいになってしまいます。

さて、今回は私が先日の電車で出会ったエピソードを紹介します。

土曜日の昼すぎの大阪環状線。西九条駅を過ぎると車内は一気にガラすきになります。私はベンチシートの端っこに座って、ボケーっとしておりました。とある駅で、耳と鼻とくちびるに輪っかのついた金色のヒヨコみたいな髪型のオニイチャンが乗ってきて、私のななめ前方のドア付近に立ちました。そし
て、手にしていた缶コーヒーを開けようとします。ところが、タブの開いた瞬間と電車の揺れがシンクロしたのか、コーヒーがパシャンと飛び散りました。

おそらくハンカチもティッシュも持ち合わせていないのでしょう。あちゃーという顔のまま、ぼう然としています。ちょっとかわいそうなほどです。

私がポケットティッシュを一袋差しだすと、「ありがとうございます」と気持ちのいい返事。「あざーっす」とはまるで違う。小さな声ですがはっきりと聞き取れる。テンプレートのあいさつしかできない電話営業マンに教えてあげたいくらい。

さらに、そのオニイチャン、ビックリする行動に出たんです。

ティッシュを数枚取り出すと、自分の服ではなく、電車の床をふき始めるのです。まだほとんど飲んでいない缶コーヒーは別のところにおいて、ゴシゴシと床をふいているのです。見ると、もうティッシュはありません。服もふいた方がいいよと、もう一袋差しだすと、またしても「ありがとうございます」と心地よい返事。

その後、2駅ほどしてオニイチャンは降りていきました。もちろん「どうもありがとうございました」と私に一礼して。オニイチャンの手には床をふいたティッシュのかたまりがにぎられていました。

改めて考えてみれば、オニイチャンの行動は当たり前のことなんですよね。

でも、当たり前のことを当たり前にできない人が多くなっています。私もエラそうなことは言えません。私がオニイチャンの立場だったら同じ行動ができたかどうか…。

人は見かけで判断してはいけないといいます。でも、それどころか、一見やんちゃそうなオニイチャンから、マナーについて教えてもらう大切な機会を得ることができました。

うっとうしい季節に、少し清々しくなったエピソードでした。

(朝井)